Foucher's signとCrescent signの違い
Baker嚢胞に関連する身体所見として、Foucher's signとCrescent signがあります。
この2つの身体所見の違いについて今回は考えてみたいと思います。
Foucher’s signとは、膝を伸展すると腫瘤が堅くなり、膝を屈曲すると腫瘤が柔らかくなる身体所見のことです。Baker嚢胞は腓腹筋-半膜様筋滑液嚢が拡大することで起こりますが、Foucher's signは腓腹筋と半膜様筋が近づくことで嚢胞が潰されることで起きます。Foucher's signはベーカー嚢胞と膝窩動脈瘤、肉腫、外膜嚢胞、結節腫との鑑別に有用です。特異度、感度は調べてみましたが、私が調べた論文でも5人の有症状のベーカー嚢胞患者についてしか検討されておらず不明です。
Ann Rheum Dis. 1987; 46(3): 228-232.
UpToDate“ Popliteal (Baker's cyst)” (Last update Jul 10, 2019.)
Sm: 半膜様筋、Cys: ベーカー嚢胞、G: 腓腹筋
Fig.3は写真の上側が背側です。
(Ann Rheum Dis. 1987; 46(3): 228-232. より引用)
Crescent signとは、内果より遠位の斑状出血です。
前回の記事でも紹介しましたが、Baker嚢胞破裂とDVTとの鑑別に使えます。
Ann Intern Med 1976; 85: 477-8.
こちらも、特異度、感度については書かれた論文は見つかりませんでしたが、稀な所見ですので感度が低いことが予想されます。
白い矢印がCrescent signです。
(Ann Intern Med 1976; 85: 477-8. より引用)
詳しくは以前の記事をご覧ください。
https://rt-general.hatenablog.com/entry/2021/03/17/210636